抗加齢・足病変予防戦略研究所(JAPFoot)とは、
糖尿病足病変は、神経障害や血流障害により足に潰瘍や壊疽を引き起こし、重症化すると下肢切断のリスクが伴う深刻な合併症です。当研究所では、これを「抗加齢(アンチエイジング)」の重要課題と位置づけ、足の健康を守り、全身のQOL向上を目指した研究と取り組みを進めています。
純真学園大学を拠点に、糖尿病足病変の専門家である上村所長の指導のもと、医療工学の視点を活かした靴のシミュレーション開発やフットケアを推進します。老化による足の疾患リスク軽減を目指すとともに、患者さんの健康寿命の延伸に取り組みます。また、チーム医療や産学連携を通じて、足病変予防に貢献するシューズの普及にも注力します。
私たちJAPFootは、これらの活動を通じて「いつまでも自分の足で歩ける人生」をサポートすることを使命としています。
研究について
1. 3D-CADと有限要素法(FEA)を用いた足底圧のシミュレーション
感覚が鈍麻した糖尿病患者の足は、特定の部位に繰り返し強い圧力がかかることで潰瘍(傷)が生じます。
研究では、患者の足の形を3次元CAD(コンピューター支援設計)モデル化し、有限要素法(FEA)という工学的な解析手法を用いて、「歩行時に足のどの部分にどれだけの負荷(圧力やせん断力)がかかるか」をコンピューター上で精密にシミュレーションします。これにより、潰瘍の発生リスクを科学的に予測・評価することが可能になります。 [1, 2, 3]
2. 荷重分散(免荷:Off-loading)を最適化する「予防靴・装具」の開発
シミュレーション結果をもとに、特定の部位へ集中する圧力を完全に逃がすためのインソール(靴中敷き)やフットウェアの構造設計を行っています。
パーツを組み合わせる「モジュール化」の技術を研究し、患者一人ひとりの足の変形や状態に合わせた「オーダーメイドに近い靴・装具」を、より低コストかつ迅速に提供できるシステムの構築を目指しています。 [1, 2]
3. 産学連携による「アサヒフットケア」など市販靴への技術応用
医療用としてだけでなく、患者が日常生活で気兼ねなく履き続けられるよう、アサヒシューズ株式会社などの企業と共同開発を行っています [1.2.2, 1.2.3]。
これまでの医療用装具の課題であった「重い・デザインが悪い・価格が高い」という点を克服し、独自の荷重分散構造や、靴内部の縫い目を無くして足を傷つけない設計を組み込んだ、「普段履きできるフットケア専用シューズ」の社会実装および海外展開への研究が進められています [1.2.2, 1.2.3]。 [1]
4. 医療職の「チーム医療」を支える工学的アプローチ
純真学園大学は、看護・放射線・臨床検査・医療工学の4学科を擁する医療系総合大学です。
この環境を活かし、医師、看護師(フットケア指導士)、義肢装具士、そして医療機器やシミュレーション技術を扱う臨床工学技士が連携し、「どのようにすれば臨床の現場で最も効果的に足病変の再発を防げるか」というチーム医療の最適化プロトコルについての研究・教育も行われています。